§4 集積値、上極限、下極限

1_基本的概念

[定理1](Bolzano-Weierstrass) 有界数列は少なくとも1つの収束部分列を持つ。

[証明] 「解析学教程」の証明は、曖昧な箇所があるため、youtubeの説明を紹介する。
https://youtu.be/HiOgZ4P9-L8
https://youtu.be/wNBZjEBYTl8

\begin{align}
&有界数列\{x_n\}の区間はI_1=[a_1,b_1]とする。\\
&有界数列なので、[a_1, \frac{b_1-a_1}{2}]または(\frac{b_1-a_1}{2}, b_1]の少なくともどちらかに\\
&項が無限個存在する(両方に無限個存在すると収束部分列は少なくとも2つになる)。\\
&仮に[a1, \frac{b_1-a_1}{2}]に無限個存在するとする。この区間を新たにI_2=[a_2,b_2]とする。\\
&以後、同様にI_3,I_4,\cdots,I_n,\cdotsと作成していくと、I_1 \supset I_2 \supset \cdots I_n \supset \cdotsとなり\\
&区間縮小法の原理より、n \rightarrow \inftyのとき、b_n = a_n=\alphaとなる。\\
&I_1,I_2, \cdots I_n,\cdotsは無限個の項を持つため、もとの有界数列の順番を保持した\\
&部分列x_{n(i)} (i =1,2,3,\cdots, n(1) < n(2) <n(3) < \cdots)をI_iの区間から選択できる\\
&(有界数列は後半部分に常に無現個の元を持つため)。よって \{x_{n(i)}\}は\alphaに収束する。
\end{align}

数列{$x_n$}のある部分列が$\alpha$に収束するとき、$\alpha$を{$x_n$}の集積値という。定理1は次の定理1’で言い換えることもできる。

[定理1′] 有界数列は少なくとも1つの集積値を持つ。

[定理2] 数列{$x_n$}が収束することの必要十分条件は、{$x_n$}が有界で、ただ1つの集積値をもつことである。

[証明] 『数列{$x_n$}が収束 $\Rightarrow$ {$x_n$}が有界、ただ1つの集積値を持つ。』を証明する。§3 [定理3]より、『数列{$x_n$}が収束 $\Rightarrow$ {$x_n$}が有界』は証明された。集積値は数列{$x_n$}の部分列の収束値である。{$x_n$}の収束値と部分列の収束値は同じなので、{$x_n$}の収束値は1個であり、部分列の収束値(集積値)も1個である。
『{$x_n$}が有界、1個の集積値を持つ $\Rightarrow$ {$x_n$}が収束する』を証明する。(以下は苦し紛れの証明) 命題の対偶をとると『{$x_n$}が収束しない。 $\Rightarrow$ {$x_n$}が有界でない、または集積値がないまたは集積値が複数』。収束しない場合、結論は明らかに正しい。

集積値の上限を上極限といい、$\displaystyle \varlimsup_{n \to \infty}x_n$と表す。集積値の下限を下極限といい$\displaystyle \varliminf_{n \to \infty}x_n$と表す。

数列{$x_n$}において、$\forall \epsilon > 0, \exists n_0, m,n > n_0 \Rightarrow |x_m – x_n| < \epsilon$となるとき、{$x_n$}をCauchy列と呼ぶ。

[定理3] (Cauchyの収束条件) 数列{$x_n$}が収束するための必要十分条件は{$x_n$}がCauchy列であることである。

[証明]以下のサイトがわかりやすい。
https://youtu.be/Ac15Ku0pMZo

必要条件を証明する。{$x_n$}がaに収束するとする。$\forall \epsilon, \exists n_0, m,n > n_0, |x_n – a| < \epsilon, |x_m – a| < \epsilon$
$|x_m – x_n| = |x_m – a – (x_n – a)| \leqq |x_m – a| + |x_n – a| < 2e$となり、{$x_n$}はCauchy列である。
十分条件を証明する。まず、{$x_n$}がCauchy列のときに、{$x_n$}は有界であることを証明する。
{$x_n$}は,Cauchy列なので、$\forall \epsilon > 0, \exists n_0, m,n > n_0 \Rightarrow |x_m – x_n| < \epsilon$。$\quad m=n_0 + 1, \epsilon=1$とおくと,
$|x_{n_0+1} – x_n| < 1 よって x_{n_0+1} – 1 < x_n < x_{n_0+1} + 1$。 
$n_0より大きいnに対して、この不等式は成り立つので、n=1,2,\cdots,n_0を含めたx_n$の下限は、$x_1,x_2,\cdots,x_{n_0}とx_{n_0+1} – 1$の最小値となる。最大値も同様に考えて、全てのnについて
$Min\{x_1,x_2,\cdots,x_{n_0},x_{n_0+1} – 1\} < x_n < Max\{x_1,x_2,\cdots,x_{n_0},x_{n_0+1} + 1\}$
よって{$x_n$}は有界となる。 [定理1]より、{$x_n$}は収束する部分列を持つ。この部分列を{$x_{n(k)}$}とする。
$x_n(k)$はaに収束するとすると、$|x_n – a| < |x_n – x_{n(k)}| + |x_{n(k)} – a| $
{$x_n$}はCauchy列であるので、$|x_n – x_{n(k)}| < \epsilon$, また$x_n(k)$はaに収束するので$|x_{n(k)} – a|<\epsilon$
よって、$|x_n – a| < |x_n – x_{n(k)}| + |x_{n(k)} – a| < 2\epsilon$となり、{$x_n$}はaに収束することとなり十分条件は証明された。

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